第十三回ポイント講座(数IIB 数列 漸化式 特殊解)
こんにちは。
オンライン講座の採点をしている稲荷興心です。
梅雨入りしたようで、今朝から雨が続いていますね。写真は全然関係ないですが雨のスカイツリーです。
さて、採点中に感じた典型的なミスや勘違いについて書くブログの第十三回目です。前回に引き続き、漸化式の解き方について書いてみたいと思います。前回はほとんどの人が理解している部分だったと思いますが、今回は少し発展した漸化式について取り上げてみます。例題は以下になります。
「a1=0, an+1=3an+4n の一般項anを求めよ」
まず、前回と同様の方法を用いて解いてみましょう。前回はan+1とanの代わりにαを代入し、特殊解を求めています。今回も踏襲してみましょう。すると特殊解αは-2nとなります。
α=3α+4n
α=-2n
この結果から漸化式を変形すると以下のようになります。
an+1=3an+4n
an+1+2n=3(an+2n)
この変形によって一般項は得られるでしょうか?少し考えてみると、この変形では等比数列の形に変形できていないことがわかるため、一般項は求まりません。n=1, 2を試しに代入してみましょう。
a2+2=3(a1+2)
a3+4=3(a2+4)
この式から、a1によってa3を表すのはそのままでは不可能であることが分かります。
では、どうすれば一般項が求まる形に変形できるでしょうか?前回と同様に最終的な目標の形を考えてみることにしましょう。具体的には、先ほどn=1, 2を代入した場合と違って、nについてどんどん遡れるような形を目指します。つまり以下のような形になれば良いということです。
an+1-{α(n+1)+β}=3{an-(αn+β)}
このような形になればn=1, 2を代入してみるとa3がa1を用いて表せます。
a2-(2α+β)=3{a1-(α+β)}
a3-(3α+β)=3{a2-(2α+β)}
つまりa3-(3α+β)=3[3{a1-(α+β)}]= 32・{a1-(α+β)}
これを続ければ一般項をa1で表せることが分かります。これで等比数列の形に変形できました。
最終的な目標の形がわかったところで、αとβについて求めてみましょう。今回はan+1の代わりにα(n+1)+βを、またanの代わりにαn+βを代入することでαとβが求まります。この代入を行う理由は、前回と同じで引き算してみると分かります(前回参照)。
α(n+1)+β=3(αn+β)+4n
αn+(α+β)=(3α+4)n+3β
ここでnの係数とn以外の部分について比較してみると二つの式が得られます。これは恒等式の考え方で、あらゆるnについて成立するようにαとβを決定しています。
α=3α+4
α+β=3β
この連立方程式から(α, β)=(-2, -1)となります。
これを目標の形に代入してみると以下の式になり、続けて一般項が求まります。
an+1+2(n+1)+1=3(an+2n+1)
an+2n+1=(a1+2×1+1)×3n-1=3n
よってan=3n-2n-1
今回の説明は以上になりますが、最後に前回に追加して何が重要であったかを振り返っておきます。
1) 等比数列にするのに邪魔な部分(今回は4n)の形に合わせて特殊解の設定を変更しないとa1まで遡れない変形になってしまう
2) 特殊解の設定は邪魔な部分の形に近い形(今回は4nなのでnの一次式とした)にするとうまくいく(次回もう一つのパターンについて触れます)
3) こういった場合について特殊解の中に含まれるnはan+1に代入する場合は(n+1)に、anに代入する場合はnにしておく
この辺りに注意すれば前回の問題と対して変わらず解くことができると思います。漸化式は一度できるようになれば、似たような問題に出会っても解けるようになるので、どのようにすれば良いかについてしっかり理解しておきましょう。
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