東大の数学の入試問題で発見した少し面白い話
こんにちは。
通信講座の採点をしている稲荷興心です。
気が付けば11月が目の前です。11月は霜月というぐらいなので寒くなり始める時期なのでしょう。今のところ、ちょうど良い気候が続いていてまさに秋といった感じですが、そろそろ寒くなっていきそうで少々憂鬱です。寒いのは苦手です。暑いのも嫌いですが。四季があることが日本の良いところと言われていますが、あまり極端なのもいただけませんね。ずっとこのぐらいの気温が続けばいいのに、と最近はよく思います。
話題がないときは天気や気候の話をしがちになりますが、あまりにも大きな出来事がないためネタがありません。仕方がないので東大数学の過去問を眺めていて発見したことについて書いてみることにします。
最近自分が生まれる前の入試問題がどういったものだったのかが気になり、東大や京大の過去問を眺めたり解いたりしていました。僕自身は行列から複素数平面に課程が変わってから受験生になったので行列の問題は解いたことがなく、また現行の課程において行列は含まれていないので、そういった問題は飛ばしながら眺めていましたが、それでも面白いテーマを扱った問題がたくさんありました。
そのうちの一つが1974年の東大で問われた問題です。問題文は以下のようになっています。
「長さlの線分が、その両端を放物線y=x2の上に乗せて動く。この線分の中点Mがx軸に最も近い場合のMの座標を求めよ。ただしl≧1とする。」
問題文の意味は明確で中学生でも理解できる内容です。この問題の面白いところは、感覚としては線分がx軸と平行な場合にMのy座標が最も小さくなりそうな気がする一方で、実際はそうはなっていない点にあります。また数IIIC の範囲である高度な微分を必要とせず、相加平均相乗平均の関係を使えば答えが求まるのも面白い点です。
とはいえ数IAを勉強したばかりではなかなか手をつけづらい問題ではあるので、僕が解いた方法について軽く触れておくことにしましょう。線分の両端の座標を(α,α2 )、(β,β2)と設定し、二点間の距離の条件から立式します。この条件をどう使うかが少し難しいところですが、変形する事によってαβをlと(α+β)で表してみると、線分の中点のy座標がよくみる形になります。これについては一度自分で試してみた方が楽しいでしょう。
というわけで、問題自体もとても面白い内容になっていますが、実はもう一つ面白い話があります。1974年から30年以上時間が経った2008年の東大の問題に全く同じ設定の問題が出ているんです。これにはとても驚きました。(2008年の問題は傾きを設定するという誘導がついており解き方自体は少し思いつきやすくなりましたが、長さの条件がないため数IIICの知識を必要とします)
同じようなテーマを扱った入試問題が複数の大学で見られることはよくあることですが、同一の大学でこういったケースを見たのは初めてで新鮮な驚きがありました。とはいえ2008年に東大を受験した受験生で30年以上前の入試問題を過去問演習していた人は稀だと思いますが…。もしかしたら、作問者が自分の受けた入試問題を懐かしんでいた可能性もありますね。1974年当時18歳だった人も2008年には52歳になっていて、東大で教壇に立っている可能性は十分にあります(若手の助教などが策問をするという噂も聞いたことがありますが笑)。
ということで最近あった少し面白い話でした。これから受験生はどんどん忙しくなると思いますが、やったことがある問題が出る可能性はいつでも存在します。気を抜かず一問一問に向き合っていってほしいなと願っています。
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