稲荷塾の反転授業

項目ごとに4つのステップで学習を進める稲荷塾の反転授業

高校課程の基礎知識を学ぶ、数ⅠA・数ⅡB・数Ⅲの各クラスでは「反転授業」を行っています。一般的な授業は教室で新しいことを学び、自宅でそれを復習しますが、この教室での学習と自宅での学習の役割を反転させたのが反転授業です。稲荷塾の反転授業は、
①『稲荷の独習数学』を読む ②テキストの問題を解く ③小テストを受ける ④演習問題を解く
の流れで進みますが、このうち①と②を自宅で、③と④を教室で行います。通信講座でも学習の流れは同じで、③と④をプリントデータの通信によって行っています。また、新しい内容を学ぶときに講義動画を見るのではなく、参考書を読んで自分で学習することも稲荷塾の反転授業の大きな特徴の1つです。

参考書を利用した反転授業によって学習進度が通常の2倍に

2015年夏、『稲荷の独習数学』が出版されたところから稲荷塾の反転授業は生まれました。当時、数ⅠA・ⅡB・Ⅲのそれぞれを1年かけて講義するという形式で授業を行っていました。ところが秋になって、ちょうど数ⅡBを学び始めた生徒が途中入塾してきたのです。半分以上の講義が終了している数ⅡBクラスにそのまま入ることはできず、仕方なく個別指導を始めました。一人の生徒のために授業と同じ内容を全て説明することは面倒だと感じたそのとき、『稲荷の独習数学』を活用することをひらめきます。これが反転授業の始まりです。
その後、この生徒の個別指導は順調に進み、年度末には数ⅡBクラスの進度を追い越すまでになりました。結局、参考書を自分で読んでから教室に来る反転授業は学習の効率が良かったということです。現在の数ⅠA・ⅡB・Ⅲの通常クラスはこのシステムをもとにした反転授業を行うことで通常の学校教育の2倍の進度を実現し、それぞれ半年間のクラスとなっています。これにより、どの学年から始めても大学受験までの学習を有利に進めやすくなりました。

わかりやすい授業で納得しても問題が解けるようにはならない

反転授業で効率よく学習できるのには2つ理由が考えられます。1つは、通常の授業で必要になる「講師が板書して生徒がそれをノートに写す」という単なる作業の時間を省けるから、そしてもう1つは、その生徒にとって分かりにくいポイントや課題を把握した状態でそれを解決するために教室に来るからです。しかし、生徒1人の個別指導ではなく多くの生徒が集まるクラスでよい授業ができるようになるまでには、さらに何年もかけて授業で取り組む課題の量やレベル、流れを検討し、改善を繰り返す必要がありました。
大きく変わったのは、「わかりやすい授業」をやめて「できるようになるための授業」をするようになったことです。数学の勉強において「わかる」と「できる」は違います。特に高校数学になり内容が抽象的で難しくなると、解説を聞いて「わかった!」と思ってもできるようにはなっていないということが多くなります。「わかりやすい授業」をしていてはだめなのです。

自ら学習方法を工夫することで偏差値70の理解度を目指す

現在、教室での授業はいきなり小テストから始まります。この小テストは4問で構成されていますが、ある程度優秀な生徒でも簡単には満点が取れないようにしています。つまり、「ちゃんと予習して理解したつもりだったけど甘かった」と感じさせるような問題にしているということです。この結果、どんな予習をすれば学習内容の本質がしっかり身に付くのかを自ら考えて学習するようになります。
学習内容の理解度は半年間に3~4回ある単元テストで確認します。将来的に最難関大学を目指すための目標点は50点で、これはたとえば数ⅠAであれば全統高1模試の偏差値70程度に相当します。高校生の多くは1回の受講でこの目標点をクリアしていきますが、中学生で高校数学を学ぶ場合には1回でクリアできる生徒はまれで、多くは半年間のクラスを2回受講することになります。そうすると、1年かけて一通りを学ぶ従来の方法よりもずっと高い確率で目標点に到達するようになります。