第八回ポイント講座(数IA 相加平均相乗平均の関係 等号成立条件)
こんにちは。
オンライン講座の採点をしている稲荷興心です。
さて、採点中に感じた典型的なミスや勘違いについて書くブログの第八回目です。今回は数IAの相加平均と相乗平均の関係を使った最小値の求め方における注意点について書いてみたいと思います。文系の場合は複雑な微分を使用できず、相加平均と相乗平均の関係に頼ることがよくあるのでしっかりと押さえておきましょう。今回取り上げる問題は以下になります。
まず、相加平均と相乗平均の関係についておさらいしておきましょう。解説や証明は最短でマスターする数学p.52~に載っています。三つ以上の要素についての場合にもこの関係は成り立ち、その証明は数学的帰納法の特殊な場合を用いて証明しています。面白いのでチェックしておきましょう。
本題に入ります。今回の問題で最小値を求める場合に注意が必要なのは「等号はa=bのときに限り成立する」の部分です。
問題の式に対して相加平均と相乗平均の関係を適用すると以下のようになりますが、この段階で最小値が-8としてしまって良いでしょうか。
2≧1は正しい不等式ですが、これが意味するのは2が1以上、つまり2は1と同じか1よりも大きいということを示しています。同様に、今回の問題において、与えられた式は-8以上であることが分かったわけですが、与えられた式が-8より大きい可能性があり、-8という値を取れるかどうかは不明である点が問題となってきます。
つまり出てきた不等式から-8が最小値と言い切ってしまうと議論として不十分であり、与えられた式が-8を取るうることをいうことで初めて最小値が-8であるといえることになります。
ここで等号成立条件を使います。今回は不等式の等号が成立するために、以下のようになっていればよいことになります。
xがこの値のときに、与えられた式は-8という値をとることがわかりました。これらの議論をまとめると以下のような解答になります。
今回は等号成立条件が大事であるという話を相加平均と相乗平均の関係からしましたが、もちろんコーシーシュワルツの不等式などから最小値や最大値を求める場合にも必須の議論なので覚えておきましょう。
最後に類題を置いておきます。余裕があれば考えてみてください。
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