京大特色入試(ベクトル 内積)について

query_builder 2023/04/27
ブログ
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こんにちは。

 

オンライン講座の採点をしている稲荷興心です。

 京大の得点開示があったみたいですね。自分が受けた時より100点ほど最低点が上がっていてびっくりしました。


 

今回は普段のブログの箸休めとして、少し前に見かけた入試問題について書いてみたいと思います。面白い話になるかわかりませんが、一読いただけると幸いです。

 

京大の数学の入試問題は東大と並び難しいとされていますが、近年は簡単な問題も目立つようになった印象があります。しかしながら、2016年から行われている特色入試の理学部の入試問題では高度な数学の問題が並び、高校数学を普通に学んでいただけでは太刀打ちできないような問題も多いです。実際に問題を見ていると考えるきっかけが全く見えない問題もしばしばあります。その中でも少し考えれば状況を掴むことができそうな問題があったため、紹介したいと思います。シンプルながら面白い問題だったので、ベクトルを学習している場合にはトライしてみてください。

 

問題文はこちらです。2020年11月に行われた京都大学・理学部の特色入試 大問1です。

 

 

まずはどういう状況で二つの条件が成り立つようなベクトルが存在するかを考えてみてください。

 

この問題を解くために最初に気付く点は、「全てのベクトルの長さが1であることから、どの二つのベクトルについてもなす角が等しい場合を考えている」ということです。

 

次にnが大きくなると考えにくいことからn=3において考えてみましょう。そうすると非常に単純になります。

 

簡易化のため、始点をOに統一し、vkベクトルをOVkベクトルとします。

また図のようにO, V1, V2, Aを設定します。(OAは∠V1OV2の二等分線で長さが1)

 

このときV3は∠V1OV3と∠V2OV3が等しくなるように取ることを考えると、下図のような円周上に存在することがわかります。


 

次にこの円周上をV3が動くとき、∠V1OV3(=∠V2OV3)の動く範囲について考えてみましょう。OV1=OV3=1よりOV1を固定して∠V1OV3の値が一定の時にV3がどこを動くか考えてみた場合、OV3を母線とする円錐の底面の円周上を動くことがわかります。またこの円が作る平面は∠V1OV3が大きくなるごとにV1→O方向に移動していくことも自明であると言えます。

 

このことから、先ほどの図においてOAを延長し、円と交わった点をBとして(ABが直径となる)、A, O, B, V1を含む平面に注目してみると、V3がこの円上を動く際に∠V1OV3が一番小さくなるのはV3=Aとなるときで一番大きくなるのはV3=Bとなるときであることがわかります。またV3が動く際に∠V1OV3は連続的に変化します。

 

∠V1OV2=2∠V1OA>∠V1OAであることから∠V1OV3の最小値は∠V1OV2よりも小さいことがわかります。

また∠V1OV2≦∠V1OBとなれば∠V1OV2=∠V2OV3=∠V1OV3となるようなV3が取れることがわかったため、∠V1OV2=2∠V1OAであることから2∠V1OA≦∠V1OBが成り立てば良いこととなります。

つまり∠V1OV2≦120°ならば条件を満たすV1, V2, V3が存在することがわかりました。

 

∠V1OV2=θとするとcosθ=λであることから、

n=3ならば-1/2≦λ<1が求める条件となります。

 

次にn=4のときについて考えてみましょう。n=3の考察から∠V1OV2=∠V2OV3=∠V1OV3が成り立つのは0°<∠V1OV2≦120°のときとなります。

このとき、∠V1OV2=∠V1OV4となるならば、図の対称性からV4は下図の点線(Oから平面V1V2V3に下ろした垂線)上に存在します(n=3の最初でV3が存在しうる場所を考えた議論と同様)。

 

しかしながら、上図のOよりも下側にV4を取ろうとするとn=3における議論から∠V1OV2>∠V1OV4となり不適です。つまり下図のような場合に限られます。

 

また、V4のみを別で考えてきましたが、V1, V2, V3についても同様に考えるとV1, V2, V3, V4が正四面体を作り、Oがその重心である場合に限り二つのベクトルのなす角が全て等しくなることがわかります。

 

このときの∠V1OV2について、化学の知識でメタンの結合角を知っていれば、およそ109.5°であることがわかりますが、求めるのはその角度に対する余弦であるため、更なる計算が必要になります。

 

三角形V2V3V4へとV1から垂線の足Gを下ろすとGは三角形V2V3V4の重心になっており、V1GはOを通ります。またV2Gの延長線とV3V4の交点をCと置くとき、平面V1V2Cを取り出してみるとV1O : OG=3 : 1になっていることがわかります。

 

このことから以下の計算により四つのベクトルの関係が導けます。

 

四つのベクトルは全て大きさが1であることから以下の計算によりλ=-1/3となりました。

 

よってn=4ならばλ=-1/3が求める条件となります。

 

n≧5においてはn=4のときから新たにベクトルを追加すると条件を満たすようなベクトルの組み合わせが存在しなくなることから不適であることがわかります。

 

以上より

n=3ならば-1/2≦λ<1

n=4ならばλ=-1/3

でした。

 

なかなか難しく感じる問題でしたが解くことはできたでしょうか?

実は解いたのちに他の人が作った解答を見たところもう少し簡単に解いていました...

他の解き方を考えてみるのも面白いかもしれません。

 

今回のブログはオンライン講座とは関係がありませんでしたが、また面白い問題があれば紹介したいと思います。見かけたら是非一度考えてみてください。

 

また少し前の情報になりますが、大学院時代の研究室の教授が携わって生物学に特化した特色入試が京大理学部に誕生したらしいので、興味があればそちらもチェックしてみてください!理学部入学者の中で生物学を専攻する生徒が少ないことを解消したいとのことでした。生物学も面白いので興味を持ってもらえると嬉しいです。

 

以上とりとめのないブログでした。


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