不定方程式の話
こんにちは。
通信講座の採点をしている稲荷興心です。
みなさんはきのことたけのこ、どっち派ですか?僕は断然きのこ派です。最近驚いたこととしては、たけのこの里のクッキーが想像よりも小さかったことです(下にイメージ図あり)。チョコレートでコーティングしているものとばかり思っていましたが、これではきのこと大差ありません。たけのこ派は何をもってしてたけのこが上回っているといっているのでしょう。不思議です(付け加えておくと僕はきのこ派ですが、きのことたけのこの間に優劣はない派でもあります)。
さて、今日は不定方程式について書いてみようと思います。最近いくつか解いたので個人的に少しホットな話題でもあります。不定方程式とは一つに解が定まらないような方程式を指します。基本的には解のパターンを求める話になります。
まずは練習問題からです。
「7で割ると3余り、17で割ると8余るような自然数のうち、3桁で最大のものを求めよ。」
(2022年 奈良教育大学)
まずは解答から確認してみましょう。
(解答)
求める自然数をNとすると、k, lを自然数として、
N=7k+3=17l+8
と表せる。
ここで7k+3=17l+8を満たすk, lについて考えると
7・25+3=17・10+8より7(k-25)=17(l-10)と変形できる。
7と17は互いに素であるからk-25は17の倍数となる。
よってmを整数としてk-25=17mとおけて、
k=17m+25
これをN=7k+3に代入して、
N=7(17m+25)+3=119m+178
119m+178はmに伴って増加し、
m=6のとき119m+178=892
m=7のとき119m+178=1011
よって求める自然数は892
納得できたでしょうか。3つほど理解しておくポイントがあるように思います。
1) 7・25+3=17・10+8はどこから来たのか
7k+3=17l+8を満たす一つの解は割り算から求めることができます。
最初に二つの文字の係数について(今回は7と17)、大きい方を小さい方で割ります。
17=7・2+3…①
次に割る数と余りで同様のことを行い、余りが1になるまでこれを繰り返します。基本的には不定方程式の係数は互いに素になっているので、最大公約数は1になります(ユークリッドの互除法を確認しておきましょう)。
7=3・2+1…②
余りが1になったら余り以外を移項した式を作り、代入を繰り返します。
② : 1=7 - 3・2
① : 3=17 - 7・2
②に①を代入すると、
1= 7 - (17 - 7・2) 2
1=7・5 - 17・2
ここまで来れば元の式と比較して整数倍(今回は5倍)すれば求まります。
7k+3=17l+8 → 5=7k - 17l
5=7・25 - 17・10
2) 7(k-25)=17(l-10)はどこから来たのか
以下の二つの式について片々引き算すると求まります。
7k+3=17l+8
7・25+3=17・10+8
3) k-25=17mと表してしまってよかったのか
k-25=17mとすると
7(k-25)=17(l-10)=7・17mとなるので、
k-25=17m
l-10=7m
つまりmに対してk, lが一つに定まるのでlの条件についても同様に考えていることになります。なのでk-25=17mとしてしまって問題ありません。
今回のブログの解説はここまでにしましょう。最後に、そろそろ蝉の声が聞こえなくなる時期になりましたが、夏にふさわしい問題を載せて終わりにしておきます。
「7年に一度大発生するセミAと、11年に一度大発生するセミBと、13年に一度大発生するセミCがいる。今年を西暦2022年とする。セミAは2年前に、セミBは5年前に、セミCは1年前にそれぞれ大発生している。セミA、セミB、セミCが今年以降初めて同時に大発生するのは西暦何年か。」
(2022年 静岡大学)
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