第一回ポイント講座(数IIB 三角関数、cosとsinの変換)

query_builder 2023/04/19
ブログ
IMG_1774


こんにちは。

 

オンライン講座の採点をしている稲荷興心です。

最近はめっきり春めいてきたとはいえ、またまだ寒暖差が激しく上衣を着るべきか悩む日々です。

 

さて、採点中に感じた典型的なミスや勘違いについて書くブログの第一回目を迎えました。今回は数IIBの三角関数の典型問題である「cosθ=sin 2θを満たすθを求めよ」といった問題について書いてみたいと思います。この問題は多くの生徒がどこから手をつければよいかわからないようで、解答が白紙の場合が多いです。

 

実は2倍角の公式sin 2θ=2sinθcosθから簡単に解くことができます。

cosθ=sin 2θ

2sinθcosθ-cosθ=0

cosθ(2sinθ-1)=0

となるため

cosθ=0, sinθ=1/2です

しかしながら、2θではなく4θなどになってくると(3倍角の公式は有名かも)、急に面倒になることからお勧めできません。

 

この問題を難しいと感じさせているのは、cossinの両方が一つの式に存在していることにあると思います。cosθとsin 2θの値は連動して変化するため、cosθの値を固定して考えたりすることができません。そのため、cosθとsin 2θを比較できるようにする必要があります。比較の方法としてcossinに変えることやその逆が考えられ、こうすることでcossinの比較を角度の比較へと進めることができます。

 

ここで使用する知識が以下の二つの変換です。

cos(π/2-θ)=sinθ

sin(π/2-θ)=cosθ

これはπ/2-θとθを平均するとπ/4となるため、π/2-θとθが単位円上で表す点y=xに関して対称な位置に存在していることから出てくる公式です(詳しくは稲荷の独習数学p188、最短でマスターする数学p212を参照)。この公式を使うことで、与えられた式がsincosのみの式に変形できます。

cosθ=sin 2θ

変形① sin(π/2-θ) =sin 2θ

変形② cosθ= cos(π/2-2θ)


変形①については、(i) π/2-θと2θが表す点が同じ位置にあるパターンと、(ii) π/2-θと2θが表す点がy軸対称の位置にあるパターンの2種類があります。

(i) π/2-θ=2θ+2πk

(ii) π/2-θ=π-2θ+2πk

(kは整数)

これをθについて解いていけば、答えが求まります。

 

変形②については、(i) θとπ/2-2θが表す点同じ位置にあるパターンと、(ii) θとπ/2-2θが表す点がx軸対称の位置にあるパターンの2種類があります。

(i) θ=π/2-2θ+2πk

(ii) θ=-π/2-2θ+2πk

(kは整数)

これについて解いても、同様に答えが求まります。

 

個人的には変形②の方が±を使用すると一つの式にまとめられることから好みですが、いずれの場合でも問題なく答えは求まります。

 

この問題について、なぜ解けないのかを考えた場合に言えることとして、「知識を引き出すためには知っている状態よりもう一段階上の使える段階まで知識を習得している必要がある」ということが挙げられます。おそらく予習段階では変換公式についての説明を読んでいると思いますが、実際にこの公式を使うとなると思い浮かばない人が多いように感じます。

cos(π/2-θ)=sinθ

sin(π/2-θ)=cosθ

公式の多くは使える問題を知ることで徐々に使えるようになっていくと思うので、勉強中に公式が出てきた場合には一度どのように使うのかを想像してみることをお勧めします。

 

三角比や三角関数は初めて勉強するときには新しく出てくる概念が多く大変かもしれませんが、文系理系問わず入試問題には頻出の範囲なので、しっかりと理解して進んでいってください。


NEW

  • 【お知らせ】『最速最深中学数学』の対応テキスト 購入特典

    query_builder 2024/11/22
  • 雑多な話題

    query_builder 2024/11/18
  • 新しい高校受験の方法について

    query_builder 2024/11/05
  • 授業効率の2倍化について

    query_builder 2024/10/29
  • 東大の数学の入試問題で発見した少し面白い話

    query_builder 2024/10/26

CATEGORY

ARCHIVE