忘れないためにできること
こんにちは。
通信講座の採点をしている稲荷興心です。
早いもので気がつけば5月も下旬になりました。今年は6月にもチラシをポスティングしようと計画しています。「夏休みを有効に活用して勉強しよう」という主張のもと、この時期になりました(夏期講習ではないのであしからず…)。現在チラシの内容を会議していますが、見出しを考えたりするのは面白く、そして難しいです。インパクトのあるものが作れればと思っています。塾の近所にお住まいの方は見かけたら一読していただけると幸いです。遠方にお住まいの方も夏休みは勉強にいい機会なので通信講座の受講を検討してはいかがでしょう(笑)。塾で勉強するよりも一層進度を自由に決めることができるため、一気に高校数学を学びたいという場合には最適な方法であると思っています。
話は変わりますが、以前どこかで日本人の腸は欧米人のそれよりも平均して長い、という話を聞いたことがあります。肉類よりも野菜の方が消化に時間がかかり、欧米人と比較して日本人は野菜を多く食べるためより長い腸を持つことが消化に必要であった、と記憶しています(違ったらすみません)。
またまた話は変わりますが、牛は4つの胃を持っていて食事において反芻(胃から食物を逆流させて再度咀嚼する行動)を行うということも知られています。これも食物である草から最大限栄養を得るために発達してきた結果のようです(それでも直接植物から栄養を得ているわけではなく微生物の助けによって分解されたものを利用しているようです)。他にも草食の恐竜の中には胃にわざわざ石を取り込んで消化の助けにしていたものもいたようですね。つまるところ、植物を分解し栄養を得るというのはすごく手間がかかることのようです。
前置きが長くなってしまいました。今回のブログはいかに知識を定着させるかという話になります。塾で数学を教えていると生徒の間で理解力の差を感じたりもしますが、理解力とは別の基準として知識が定着していくかについても大きな差があるように感じます。多くの場合は理解力の良し悪しと定着していくかどうかは正の相関関係にあるように思えます。定着したということは理解したということとほとんど同じであるからです。しかしながら、理解するのには時間がかかるけども一回やった内容をしっかり定着させていく生徒がたまにいます。彼らがどのように勉強しているのかについて考えたことがあり、一つの仮説が得られました。その仮説は、当たり前ですが、復習をしっかりやっているのではないかという仮説です。
それだけだと何ら新規性がないのでもう少し「復習をしっかりやる」ということについて考えてみます。多くの人は忘却曲線というグラフを見たことがあることでしょう。どのタイミングで復習を行うべきかについて論じているグラフです。このグラフでは単純な記憶について、定着させるために最適な復習を行う期間と回数を考えていますが、そういったものとは少し違う数学の勉強についてはもう一つ別の要素があるように感じています。それは「質」です。これについては少し言語化しにくいので一つ例を挙げておきましょう。漫然と復習するのではなく、目的に合った復習方法をタイミングに合わせて行うという話です。
演習のクラスの生徒に「授業でやった問題はどのタイミングで復習すべきですか」と聞かれることがあります。期間が空きすぎるとやった問題の量が多くなることにより心理的ハードルが高くなるので、適度な期間が空いたらと答えるようにしていましたが、これは解き直しを行うタイミングについての話であり、解き直し以外の復習については当日中に行うべきだと思っています。その際、どういったことを復習として行うべきかというと、問題に対する解釈を自分なりに抽出することが良いのではないかと思います。「この問題に対してはこういった知識を使えば解けた」であったり、「この問題からはこういう教訓が得られた(他の問題を考える際の発想として使える部分があった)」といったことを、解けなかった問題だけでなく解けた問題に対しても考えるということを当日中に行うということです。これは答案を書き直さなくても行えるので、5問程度の復習であれば15分ほどで行えることでしょう。寝る直前に行えば効果はバッチリです。
おさらいしておくと、演習問題を解いた後の復習の流れとしては
① 解いた後に解答を確認してから、解答を見ることなく答案を書いてみる
② その際、問題に対する解釈を自分なりに抽出しておく
③ 当日寝る前に問題に対する解釈を確認する
④ できれば翌日起きてから再度確認する
⑤ 少し期間を空けて解き直しをする
⑥ 解き直しで解けなかった問題について①から再度行う
という流れで復習をすれば、必ずや数学の問題を解く上で必要な知識は定着していくことでしょう。この方法の何が良いかというと質の高い復習をそこまで時間をかけることなく行えるという点にあります。②と③を行うかどうかは1日にして15分程度しか変わりませんが、するのとしないのとでは知識の定着に雲泥の差が現れます。また問題に対する理解も自ずと深まることでしょう。是非とも試してみてください。
前置きで色々と書きましたが、あまり直接的には関係のない話だったかもしれません。少し関連させてみると、数学を学ぶ上で牛が反芻するように勉強をすることが重要なのではないかということを考えていました。一度といた問題を再度噛み締めるように折に触れて思い出すことで、いずれ知識が自分のものになっていくような気がします。また、栄養があるものをいくらたくさん食べても、消化器官がうまく働かないとそれは消化されずに排出されてしまいます。インプットばかりの勉強も同じことでしょう。学んだことを毎日解釈しながら勉強をする癖をつけておくことで、いつまでも定着する知識が得られるのではないでしょうか。知識が定着していかずすぐに忘れてしまうと悩んでいる場合は学んだ知識の解釈にも目を向けてみることをお勧めします。
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