傍心のお話
こんにちは。
通信講座の採点をしている稲荷興心です。
さて今日は久しぶりの数学の話です。突然ですが、傍心って知っていますか?三角形の五心といえば重心・垂心・外心・内心・傍心の五つですが、一番影が薄いのは傍心のような気がします(笑)。初めて聞いたという人もいるかもしれません。
図を書いて説明すると、下のような点を傍心と呼びます。三角形の二つの外角の二等分線の交点であり、残り一つの内角の二等分線上にもあります。
上図のような場合では、傍心のことは添字を使ってIAと表現することが多く、AIAベクトルをABベクトルとACベクトルで表す方法を考えることを練習として生徒に課したところ、知らなかった新しい方法を編み出したので、今回のブログで紹介してみたいと思います。
まずは模範解答のオーソドックスな方法から…。
IAが∠Bの外角の二等分線上にあることから求める方法です。二つの単位ベクトルでできる角の二等分線の方向ベクトルは二つの単位ベクトルの和でできています。これは二つのベクトルの和が平行四辺形の対角線方向になり、対角線が内角の二等分線になる平行四辺形はひし形であることから自明です。これを用いれば以下のように計算することで傍心をベクトルで表現することができます。
他にも内心と傍心の位置関係から導く方法もあります。この辺の話については、詳しくは「最速でマスターする数学」のp.338-339を参照してください。中学数学で学んだ「円外の点から円に2本の接線を引いたとき、接点までの距離は等しい」といった話を利用したりする面白い内容となっています。内心の話は以下を参照してください。
さて、今日の本題の新たな方法についてです。上で触れた方法はいずれも図形的な性質とベクトルを組み合わせることによって求めていましたが、新しい方法では補助線を引くことで図形的な最質を使いやすくしています。方法自体は簡単ですが、少しだけ計算が大変なのであまりお勧めはできません(笑)。それでは見ていきましょう。
最初に傍心を通り、辺BCと平行な直線を補助線として引くことから始めます。すると、二等辺三角形が二つ生じることが分かります。この二つの二等辺三角形の長さの等しい辺の長さをそれぞれx, yとおくと相似関係からx, yをa, b, cで表せるようになり、あとは内分点のベクトルに当てはめれば、果てしない計算の結果辿り着くことができます。
二等辺三角形を二つ作るという発想が素晴らしい解法ですが、計算が煩雑すぎます。実際この方法を生み出した生徒も計算を途中で失敗したことにより答えに辿り着けませんでした(笑)。一つ言えることとしては、こういった基本的な話については簡単に導く方法を知っておくのが大事かなと思います。ただ再三言いますが、とても興味深い方法で知らなかったので非常に楽しめました。教えているとどうしてもベストな方法を話してしまいがちですが、色々な方法を試してみることがその後新しい問題に出会ったときに解決方法を考えるのに案外役立ったりします。また、自分で計算してみることで、どのようにすれば計算が簡単になるかを実体験として知っていくことができて、より一層簡単な方法が頭に定着しやすくもなるでしょう。演習1は理系の場合、高校2年生で受講することが多いですが、本格的に受験生になる前にいろんな学びをしていってほしいなと思います。今日は傍心の話でした。
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