整数問題で頭の体操をしよう
こんにちは。
通信講座の採点をしている稲荷興心です。
暖かくなったり寒くなったり、最近は気難しい気候です。去年の写真を見返していると12月15日の京都市内はすごく冷え込んでいたようです。大学付近に置いていた自転車に分厚い霜が降りています。長岡京市より左京区の方が寒い印象があるのでなんとも言えませんが、今年はまだまだそこまで寒くなっていないかもしれませんね。ただ、今週の日曜日からかなり冷え込むみたいなので、今から戦々恐々としています。
さて、今日は頭の体操として最近解いた整数問題を紹介したいと思います。なかなか面白い問題だったのでよければ少し考えてみてください。2023年度の東京学芸大学の問題です。少し問題文を変えていますが、内容に変化はありません。
「nを3以上の自然数とする。以下の命題を証明せよ。
(1) n!+1< p ≦n!+nを満たす自然数pの中に素数は存在しない
(2) n< p ≦n!−1を満たす自然数pの中に素数が存在する 」
解答までの繋ぎとして去年の今頃近所で見たアライグマの画像を載せておきます。この時はカメラを構えている間に全身が隠れてしまいました。もったいないことをしました。長岡京は都会というほどには発達していませんが、アライグマが出るほどではないと思い込んでいたのでかなりびっくりしたことを覚えています。
それでは気を取り直して、解答と解説に移りたいと思います。
(解答)
(1)2≦k≦nとなる自然数kについて、n!は1からnまでの全ての自然数の積であるから、n!はkを約数としてもつ。つまりn!+kはkを約数としてもつことになる。ここでk< n!+kより、n!+kがkを約数としてもつならばn!+kは素数とならないので、題意は示された。
(2) n!−1は2からnまでの全ての自然数を約数としてもたない(∵(1)におけるkに対してn!−1≡−1≡k−1 (mod k)であるため)。よってn!−1が素数になる場合と、n!−1がnより大きな素因数をもつ場合に限られる。よって題意は示された。
解答自体は非常にシンプルなので階乗さえ知っていれば誰でも理解できると思いますが、(2)は少し面白いですね。n< p ≦n!−1の範囲の明確にどういったところに素数が存在するかはわからないのに、素数が存在していることが言えるというのが興味深い点です。また、素数が無数にあることの証明として、「素数が有限個しか存在しないとすると、それら全ての素数の積に1加えたものは全ての素数よりも大きな整数となるが、どの素数でも割り切ることが出来ないので素数となり矛盾」ということは有名だと思いますが、そういったことが発想の源になっている感じがします。頭の体操にちょうど良く、なかなか面白い問題でした。
いかがでしたか。パッと解法は思いついたでしょうか。整数問題はいくつかのパターンがあったりするので、面白い問題に出会うたびに頭の中にストックしていくと良いのではないかと思います。今回の問題も突き詰めれば余りの話になってくるので、整数問題としては以前取り上げた京大の問題と同じ方向の問題であると言えるかもしれません。そういった要素を探すのも整数問題を解くためのきっかけになると思うので、楽しみながら勉強していきましょう。
今日は頭の体操の問題でした。
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