中学生の疑問に答えてみた

query_builder 2023/11/17
ブログ
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こんにちは。

 

通信講座の採点をしている稲荷興心です。

つい先日、中学生に「x2−4y2は因数分解できるのに、x2+4y2が因数分解できないのはなぜですか」と質問されました。言われてみれば確かに気になるところかもしれません。

 

これが高校数学での話だったら因数定理や二次方程式の判別式Dなどとの関連を説明しながら、係数が実数の範囲では因数分解できないけど、複素数まで拡張すれば因数分解できるようになるという説明をするところでしたが、中学数学だったのでどこから説明するかを迷いました。

 

中学数学ではたすきがけという技術をおそらく学ばないので、x2の係数は多くの場合で1となっています。今回はこれを大前提として以下のように説明してみました。

 

(x+ay)(x+by)を展開してみると、x2+(a+b)xy+aby2になります。つまりx2+(a+b)xy+aby2のような形の式を因数分解すると、(x+ay)(x+by)にできるということになります。

一例を挙げておくとx2+5xy+6y2を因数分解するとき、x2+(a+b)xy+aby2=(x+ay)(x+by)とするために、この式のaとbの組み合わせを探すことになりますが、a+b=5, ab=6を満たすのは2と3の組み合わせが考えられるので、(x+2y)(x+3y)とすれば良いことがわかります。

今回、x2−4y2を因数分解しようと考えたとき、a+b=0, ab=−4となるaとbの組み合わせを探せばよく、2と-2は条件を満たしていることがわかります。

一方、x2+4y2を因数分解しようと考えてみると、a+b=0, ab=4となるaとbの組み合わせを探すことになりますが、ab=4(>0)であることから、以下の二つの可能性が考えられます。

(i)aとbが共に正の数となる

(ii) aとbが共に負の数となる

(i)の場合はa+bは正になり、(ii)の場合はa+bが負になるので、いずれの場合においてもa+b=0となりません。

つまりaとbの組み合わせが存在しないので、x2+4y2は因数分解できないことになります。

 

長々と書いてしまいましたが、この説明では(x+ay)(x+by)の形で因数分解できないことを説明しただけになっている気がしています(他の形でも不可能ですが)。また、個人的には丁寧に説明したつもりですが、もしかしたら納得しにくかったかもしれません。使える道具も限られているため、なかなかしっくりくるような説明は難しいものです。

 

今回、中学数学の質問に答えるため説明を考えてみましたが、案外高校数学で学ぶ内容で答えられるような疑問も多いので(特に代数など)、ある程度のことを中学数学で学べばその後は高校数学を勉強するのが良いように思います。高校数学を学ぶために必須の技術は最速最深中学数学でまとめてあるので、活用すればスムーズに高校数学へと移行できるのではないでしょうか。

 

今日は中学生の疑問に答えてみた、というブログでした。


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