第二十回ポイント講座(数IA 剰余 整式の決定)
こんにちは。
オンライン講座の採点をしている稲荷興心です。
植えていた落花生の花が咲き始めました。最近そうか病(かさぶた状の構造が葉などに生じる病気)が発生し、かなり切除しましたが一安心です。家庭菜園のレベルなのである程度できたら嬉しいなという感じですが、もしかしたら今年はあまりできないかもしれないと思っています。
さて、採点中に感じた典型的なミスや勘違いについて書くブログの第二十回目です。今回は第五回ポイント講座で触れた剰余について、頻出ではあるものの、なかなか理解するのが難しい問題を取り上げたいと思います。例題は以下になります。
「xの整式f(x)をx2+3x-1で割ると8x-1余り、x2+2x+2で割るとx+3余る。このようなf(x)のうち、最高次数の係数が1であるものを一つ求めよ。」
最初にP(x)、Q(x)をxの整式として、問題文の条件を表してみると、以下のようになります。
(i) f(x)= (x2+3x-1) P(x)+8x-1
(ii) f(x)= (x2+2x+2) Q(x)+x+3
まずはこの二つの等式を眺めてみることでf(x)が求まるかについて考えてみることにします。すると、このままの状態では(i)と(ii)のつながりがないため、f(x)がどのような整式であるかについての追加の情報が得られないことからf(x)は求まらないことが分かります。(もちろん条件を満たすf(x)が一つ求まれば良いので、一つの例を見つければ解けたことになりますがあまり現実的ではないでしょう。)
このことから一つの式で問題文の二つの条件を満たすことを表せないかと考えます。すると(i)のP(x)をx2+2x+2で割ることを思いつきます。(思いつかなかったとしても、次回同様の問題に出会ったときに思い出せれば十分です。)
x2+2x+2は2次式であることからx2+2x+2で割ったときの余りは一次式になります(第五回ポイント講座参照)。つまりR(x)を整式、a,bを実数としてP(x)は以下のように表せます。
P(x)=(x2+2x+2) R(x)+ax+b
これを(i)の式に戻してあげれば、少し考えるきっかけが得られます。
f(x)= (x2+3x-1) {(x2+2x+2) R(x)+ax+b }+8x-1 ・・・(*)
この式を見るとf(x)がx2+3x-1で割ると8x-1余るという条件を満たしていることが分かります。つまり後はx2+2x+2で割るとx+3余るかどうかについて考えれば良いということになります。このことから次にやるべきことは(*)の式について、x2+2x+2でくくってみることとなります。
(*)
f(x)= (x2+3x-1) {(x2+2x+2) R(x)+ax+b }+8x-1
=(x2+3x-1) (x2+2x+2) R(x)+ (x2+3x-1) (ax+b)+8x-1
=(x2+3x-1) (x2+2x+2) R(x)+ax3+(3a+b)x2+(-a+3b+8)x-b-1
=(x2+2x+2) (x2+3x-1) R(x)+ (x2+2x+2)(ax+a+b)+(-5a+b+8)x-2a-3b-1 (下に計算あり)
=(x2+2x+2) {(x2+3x-1) R(x)+ ax+a+b}+(-5a+b+8)x-2a-3b-1 ・・・(**)
ここまで変形してみるとf(x)を(x2+2x+2)で割った余りが(-5a+b+8)x-2a-3b-1となっていることが分かります。問題文からf(x)をx2+2x+2で割った余りはx+3であることから以下のようになっていれば良いことになります。
(-5a+b+8)=1
-2a-3b-1=3
これを解いてa=1, b=-2
(**)においてa=1, b=-2とすると、f(x)をx2+2x+2で割った余りはx+3になることから、(**)へと変形する前の(*)についてもx2+2x+2で割った余りはx+3になっています。つまりf(x)= (x2+3x-1) {(x2+2x+2) R(x)+x-2 }+8x-1は問題文の二つの条件「x2+3x-1で割ると8x-1余り、x2+2x+2で割るとx+3余る」を両方満たしていることになります。
(*) : f(x)= (x2+3x-1) {(x2+2x+2) R(x)+x-2 }+8x-1
ここまでくると後は簡単です。問題文をもう一度読んでみると「このようなf(x)のうち、最高次数の係数が1であるものを一つ求めよ」とあるため、R(x)=0とするとf(x)は3次式で3次の項の係数は1となるため、このようなf(x)は全ての条件を満たすことが分かります。
f(x)の一例 : f(x)= (x2+3x-1) (x-2)+8x-1=x3+x2+x+1
もちろん一例なのでR(x)=1とするとf(x)は4次式で最高次数の係数は1となり、R(x)=xやR(x)=x+1などとするとf(x)は5次式で最高次数の係数は1となります。つまり全ての条件を満たすf(x)は無数に作れることがわかります。
これまでの議論からx2+3x-1で割ると8x-1余り、x2+2x+2で割るとx+3余るようなxの整式f(x)は3次式では1通り(R(x)=0)、4次式では最高次数の係数が決まると1通り(R(x) : 定数)に決まることが分かりました。
一個前のブログでも書きましたが、こういった問題が苦手と感じている場合、初めは解き方を覚えてしまうのが良いかもしれません。解答を覚えるなんて応用が効かないんじゃないかと思うかもしれませんが、案外そうでもありません。解答に辿り着くためにどの部分が障壁になっているのかを考え(今回は二つの条件の組み合わせ方でした)、そこを乗り越えるための方法を覚えることは、似たような障壁が現れたときに解決手段を考えるきっかけが得られるということだと思います。
特に入試問題を実際に解くような学年(高校2年生や3年生)になったときに、一つ一つの問題について1から考え始めるよりも、解答に辿り着くために必要な手段がいくつか思いつく方が格段に速く、そしてさまざまな問題に対応できると感じています。数IAや数IIB(もちろん数IIIも)で学ぶ内容はそのままの形で入試問題で問われることはないかもしれませんが、押さえておくと応用が効くようになっているので一問ずつしっかり理解しておきましょう。
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