計算について思うこと

query_builder 2023/10/26
ブログ
soroban


こんにちは。

 

通信講座の採点をしている稲荷興心です。

昨日小学生に中学数学を教えていたら、5.6−3.6(=2)を算盤(もちろん手の動きだけですが)で計算している生徒がいて驚きました。算盤的思考はこんな簡単な計算に対しても行われるのか…。ということで、ファインマンの話を思い出しました。ブラジル(?)のレストラン(?)に計算が早いと言われている男がいて、計算の速度でその男に勝つ、という話です(うろ覚えですが)。思い出したので、その短編だけ読んでみることにしました。

 

その話は「ご冗談でしょう、ファインマンさん」(岩波現代文庫、R.P.ファインマン著)という本の下巻の最初の短編にありました。この本はノーベル物理学賞を受賞した物理学者であるリチャード・P・ファインマンの自伝的小説であり、僕自身は中高生の時に読んだ覚えがありますが、物理の専門的な話はともかく、小中学生でも話は楽しめるような内容になっています。

 

前置きが長くなってしまいました。久しぶりにこの短編を読んでみると、以前はしっかり理解できていなかった部分が理解できるようになっていることに気がつきました。最初の方に友人との会話の中でe(=2.71828)の累乗を計算することになり、loge10=2.3026やloge2=0.69315を駆使して暗算する話がありましたが、どうやって計算したかがついに理解できました。ちなみにeの3.3乗や3乗、1.4乗の計算です。皆さんも近似値を求めてみてはいかがでしょうか。ちなみにファインマンは、計算できたのは運がよかった(たまたま知っていた対数で出せる組み合わせだった)だけであると書いていますが、実にそうであるなと感じることもできるようになりました。

 

そこから計算の速い友人の話になり、その友人から教わった、ある程度数についての知識が増えると計算が速くなるということについて書いていますが、その一例が載っていたので紹介しておきましょう。28の2乗は?と聞かれたときには、2の平方根は約1.4で28は1.4の20倍であるから、おおよそ800前後の数になる、とのことです。では、ここで僕から少し問題を出しておきましょう。2の平方根はもう少し正確にいうと1.41ですが、28の2乗は800と比較して大きいでしょうか?それとも小さいでしょうか?

 

また、友人にギャフンと言わされた話も面白かったですね。10秒以内に出された問題なら60秒で誤差10%以下の正確さで答えを出せると豪語したところ、「10の100乗のタンジェント」と言われた話は思わず笑ってしまいました。確かにこれは誤差10%でも60秒では計算できそうにありません。

 

そして最後に今回この短編のことを思い出した話が始まるのですが、この文章の締めとして非常に良いものでした。話としては単純で最初に書いたようにレストランで算盤売りの日本人と計算のスピード勝負をした話です。もちろん足し算などでは算盤の方が早かったようですが、掛け算、割り算と進んでいくうちにその差は縮まり、最終的に1729.03の三乗根を計算する勝負をした際には先に近似できたという話でした。ここで理解しにくいのが、日本ではメートル法が主流なので、近似に使用した1立方フィートは1728立方インチであるという点ですが、インチの12倍がフィートのようで近似値はおよそ12となるようです。計算の速度で負けた日本人に、後日どのように計算したのかを尋ねられた際に感じたことについて書かれた文章が非常に強烈だったので、最後に紹介しておきたいと思います。

 

「僕はここで気がついたのだが、彼は数というものの内容を理解してはいないのである。そろばんではいろいろな算術上の組み合わせを覚える必要は全然なく、あのそろばん玉を押しあげたり下ろしたりすることを学びさえすればいいのだ。(中略)それに比べ僕らは基礎的算術の点ではそろばんよりのろいが、その代り数というものの内容は理解しているわけだ。(中略)だから僕は、彼にわかるようにこの3乗根の問題をどうやって頭で解いたかを教えることもできなかったし、彼がたまたま1729.03という数字を選んだのは、僕にとってどんなに幸運だったかということをわからせることも、とうとうできずじまいだった。」

 

この文章で終わるこの短編のタイトルは「ラッキー・ナンバー」です。タイトルも良いですね。ここまであまりまとまりのない話になりましたが、僕自身としてはあまり算盤に対して否定的ではないですし、計算が速い方が得なことが多いので、使えるところは使った方が良いと思っています。ただ、方法に固執してより良い方法があるのにそれを採用できないのは勿体無いとも思うので、いろいろな方法を勉強していってほしいなと思います。中学数学や高校数学では算盤に乗らないような計算もたくさんあると思いますし。最近は電卓も小型化し、関数電卓なんかは3乗根を一瞬で出せるようになっていますが、数に対する感覚のようなものを養える方法についても探してみたいものですね。また、この「ファインマンさん」シリーズは面白い逸話に溢れているので高校生は読んでみると楽しめると思います。


今日は小学生を観察していて感じたことについてのブログでした。


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