【通信 塾】『稲荷の独習数学』ガイド 7.7 数学的帰納法
【補足説明】
p.271 最初の青色部分に
・1∈A
・x∈A ならば x+1∈A
とあります。これを記号を使わずに書き換えると、
・1が集合Aに含まれる
・x が集合Aに含まれるならば x+1 は集合Aに含まれる
となります。同じように、次の青色部分を書き換えると、
(ア) 自然数である n に関する命題 P(n) について、P(n) が真であることを示す。
⇔ ・P(1) が真であることを示す。
・ある自然数 n で P(n) が真であることを仮定し、そのもとでは P(n+1) が真であることを示す。
です。数学的帰納法の具体的な証明方法については例題133を確認してみてください。
p.272 例題133について解説します。
与えられた等式が成立することを数学的帰納法で証明していて、証明は次の3つの部分で出来ています。
① 解答の1~3行目
n=1 のときに等式が成立することを示す。
② 解答の4~10行目
ある n で等式が成立するならば n+1 で等式が成立することを示す。
③ 解答の11~12行目
すべての自然数 n で等式が成立するという結論を書く。
そうすると下のように、①では n=1 について証明し、②では n=1 で成立するなら n=2 で成立、n=2 で成立するなら n=3 で成立、… とどこまでも成立していくことを証明するので、結果的にすべての n で成立することが証明できます。
1 ⇒ 2 ⇒ 3 ⇒ 4 ⇒ 5 ⇒ 6 …
②については、等式の n に n+1 を代入したものが成立することを示しますが、このときに、n では成立することを仮定として使います。具体的には式変形の2行目から3行目で、Σk2 (シグマの下と上は k=1 と n) を n(n+1)(2n+1)/6 に直しています。
p.273 演習133の解答について補足します。
まず解答の1行目について、n=1 のとき、
なので、問題で与えられた不等式は成立します。
解答の3行目は、解答の下で説明されている通り、
を示すために、大きい方から小さい方を引いた
を計算して、これが0以上になることを示そうとしています。このとき、
の n に n+1 を入れると、
となることに注意してください。
解答の3行目から4行目へは、
を
で置き換えていますが、このとき、ある n で
が成立することを仮定していますので、小さいもの(*1)を引く代わりに大きいもの(*2)を引けば結果は小さくなることから、解答の3行目から4行目の式変形にあるように
となります。
解答の4行目から7行目までの式変形は、丁寧に書くと次のようになります。
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