【通信 塾】『稲荷の独習数学』ガイド 7.3 シグマ記号
【補足説明】
p.246 シグマ記号に慣れるために2つ例が挙げられています。
1つ目は、
Σk=1+2+3+…+100
なので、初項が1、公差が1の等差数列です。
2つ目は、
Σ(2k-1)=1+3+5+…+(2n-1)
なので、初項が1、公差が2の等差数列です。
どちらも、p.244の3つ目の青色部分
an=an+b のとき Sn=n(a1+an)/2
を使って、最初と最後の数字を足したものに項数をかけて2で割れば、等差数列の和が求められます。
p.248 シグマの計算の具体例として最初に等比数列の和について説明しています。
arn-1 は、初項が a、公比が r の等比数列の一般項です。これを、
arn-1=a/(r-1)・(rn-rn-1)
と変形できることを利用して
Σark-1=Σa/(r-1)・(rk-rk-1)
のようにしてシグマの計算をしようとしていますが、a/(r-1) の部分は k の値によって変化せず、k が1から n まで変わる間ずっと a/(r-1) のままです。
実際にシグマ記号を使わずに表してみると、
Σa/(r-1)・(rk-rk-1)=a/(r-1)・(r1-r0)+a/(r-1)・(r2-r1)+…+a/(r-1)・(rn-rn-1)
となります。そのため、この a/(r-1) の部分で式全体をくくると考えると、それ以外の部分をシグマ記号で表せるようになり、a/(r-1) はシグマ記号の外に出すことができます。そうすると、
Σa/(r-1)・(rk-rk-1)=a/(r-1)Σ(rk-rk-1)
となります。
等差数列の和については、
(k+1)2-(k-1)2=(k2+2k+1)-(k2-2k+1)=4k
と計算できることを利用して、1つ飛んだ「隣り合う項の差」の形を作っています。
Σ{(k+1)2-(k-1)2} は指数の2があって複雑に見えるかもしれませんが、次のようにシグマ記号を使わない形に直すと、
Σ{(k+1)2-(k-1)2}=(22-02)+(32-12)+(42-22)+…+((n+1)2-(n-1)2)
赤字で示した部分のように1つ飛んで項が消えていき、最初の2つと最後の2つが残ることが確認できます。
p.249 線形性(せんけいせい)と呼ばれる性質について1つ目の青色部分で2つの等式が示されていますが、p.248の①の式変形の左辺は、1つ目の等式を利用して
Σ(6k2+2)=Σ6k2+Σ2
と変形し、2つ目の等式を利用して
Σ6k2+Σ2=6Σk2+Σ2
と変形しています。
Σ2 (シグマ記号の下と上は k=1と n) は、2を n 回足すことになるので Σ2=2n です。
p.255 演習120の解答について解説します。
1行目から2行目への変形のΣの中の部分は丁寧に変形すると次のようになります。
(2k-1)(1/3k-1/3k+1)
=(2k-1)/3k-(2k-1)/3k+1
=(2k-1)/3k-(2k+1-2)/3k+1
=(2k-1)/3k-(2k+1)/3k+1+2/3k+1
2行目から3行目への変形は、まずp.249で出てきた線形性の1つ目の等式を利用して
Σ((2k-1)/3k-(2k+1)/3k+1+2/3k+1)
=Σ((2k-1)/3k-(2k+1)/3k+1)+Σ2/3k+1
となります。この式の1つ目のΣの部分は、(2k-1)/3k の k に k+1 を代入すると (2k+1)/3k+1 になるので、「隣り合う項の差の形」になっています。2つ目のΣの部分は、初項が 2/9、公比が 1/3、項数が n の等比数列の和なので、等比数列の和の公式を使って計算できます。
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